先日弊社はイプセンのニコラス(ニック)・フィリップス氏とお話しする機会を得ました。ブランドマネジメントにおける人工知能(AI)とイプセンが患者中心のインテリジェンス(PCI)プラットフォームとして Prospection AI を採用したという意思決定についてうかがいました。ニックはイプセンの ANZ (オーストラリア、ニュージーランド)の戦略・ビジネスエクセレンス部門のビジネスインサイト担当責任者であり、ライフサイエンス分野で長年にわたり多様なキャリアを有しています。彼はデータに基づいたインサイトを得ることや、営業パフォーマンス最適化、顧客関係構築、市場アクセス、患者アウトカムの改善につながるソリューションの作成に特に情熱を持って取り組んでいます。
1. 製薬企業が営業・マーケティング戦略や患者アウトカムの改善といった目標に対するアプローチを変革していく上で、AIが果たす役割についてどのように考えていますか?
まず第一に製薬企業には確固たる目的があります。イプセンは患者の命をより長く保ったりヘルスアウトカムを改善したり、また社会に対しポジティブな影響を及ぼすという明確なミッションを有しています。私がイプセンに魅力を感じるのはそのような影響を及ぼすことができるように患者と科学を中心に据えた画期的なソリューションを創造することに焦点を当てているからです。
イプセンの中で果たしている役割が何であれ、このような意識を持って改善へとつながる高品質の成果を生み出すためには時間がかかります。営業・マーケティングも例外ではありません。営業・マーケティング戦略では我々のミッションを達成するためにリソースを最大限に活用する方法を決定します。優れた戦略は長い時間と膨大な努力をかけて作られるデータから得られるインサイトに裏打ちされています。
AIが営業・マーケティングチームの助けになると考えられる主な2つの領域は次のとおりです:
1. まず第一にデータを活用可能な形にすることで、製品担当チームが製品の日常のマネジメントを効率的に行える様に役立ちます。データは対象となる市場の日々のモニタリングや意思決定に活用されます。膨大な量のデータに直面すると混乱することがあります。誰もが目の前に豊富な材料があるからといって素晴らしい料理を作れるというわけではありません。AIは私たちが複雑さを乗り越え、戦略を策定するに当たりストーリーを伝えてくれます。AIツールが有する能力のおかげで人々はデータに関して適切な質問をすることができ、迅速に意味するところを理解してより良い意思決定をする範囲を広げ、時間を作ることができると思います。これは近い将来の現実であり、大きな影響があるものとなるでしょう。
2. 第二の領域は予測、特に見通しに関するものです。売上数字だけでなくペイシェントジャーニーのパターンの予測も含まれます。もちろんこのパターンは売上とも関連づけられることになります。製品パフォーマンスのストーリーは複雑ですが、売上の増加に伴い患者の健康に関連する指標も改善されることが期待されるわけです。
2. AIを営業・マーケティング計画の策定に組み込む際、特に患者中心のインテリジェンスと連携させることによりどのような利点が見られるまたは期待されるでしょうか?
AI を利用することにより得られる患者と市場のインサイトを営業・マーケティングの計画策定に組み込むことはまだ初期段階です。現在それはアナリストが行った仕事を検証する上で有益な役割を果たしています。ある意味私たちは自分達自身の考えを検証しながら AI について探求していることになります。私がざっと見たところでは人間が投げかけたものであろうと機械が投げかけたものであろうと良い質問は常に良い質問です-それが人間に対してされるか、機械に対してされるかに関わらずです。より質の高い質問をするという姿勢が作られることが利点の一つではないかと私は考えます。
3. Prospection AI をご自身のチームでご利用されると決める際、どのような要素がその意思決定プロセスに最も大きな影響を与えたでしょうか?
イプセンにはイノベーションを引き起こそうという強い意識があり、そこには AI 技術の最大活用ということも含まれます。AI は社内の様々な組織の多くのアプリケーションで既に使用されています。したがって私たちが Prospection AI を活用するよう推奨するのは当然のことでした。
Prospection AI は本当に使いやすいプラットフォームでありインサイトを目の前に提供してくれます。弊社の製品担当チームは最先端ツールにアクセスし、データを優れたフォーマットで効率的に表示しインサイトを導き出し、戦略を検証したり製品をマネジしたりするための新しいアプローチを考える必要があります。Prospection AI は自社製品と市場に関する詳細な知識を更に強化します。製品担当チームが売上数字を取得して利用することは簡単ですが、それらの数字は基本的な情報(例:特定の地域で販売された治療薬の数/処方箋の枚数)を示すに過ぎません。売上や市場データは減少しているのかあるいは成長しているのかを示すかもしれませんが、その理由まではとても見ることはできません。ここで Prospection が重要な役割を果たすのです – 市場で何が起こっているのか、それが売上にどのような影響を与えるのかを理解できるようになるのです。重要なのは私たちの最大の関心事が患者アウトカムであること – そして国全体のレベルで患者、ペイシェントジャーニー、ケアに関してどの様な影響が見られるのかを明らかにするためには Prospection AI のようなツールが欠かせないのです。
4. 将来を見据え製薬業界においてAIと患者中心のインテリジェンスが営業・マーケティング上の成功や患者アウトカムの改善をもたらすことが期待される開発や進化というものはどの様なことであると予想されるでしょうか?
AI と患者中心のインテリジェンスは急速に進化しています。例えて言うならば竹の成長を見るようなものでしょうか、非常に速いペースで進んでいます。私は予測 AI が重要になると考えており、特にそれに興味を持っています。予測分析は製薬会社から患者までヘルスケア全体を通じた利益をもたらし始めています。営業やマーケティングといった観点で話すことは容易にできるかもしれませんが、それだけではなく患者アウトカムが私たちの取り組みの推進力となっているのです。私たちは生活の改善を見たいのです。よりよい患者アウトカムは、営業・マーケティングにおけるよりよいアウトカムと足並みを揃えて実現するのです。AI と患者レベルの分析を組み合わせることはこのような改善を実現する上で重要な要素となるでしょう。
5. 製薬業界の営業・マーケティング部門で AI を活用したツールの導入を検討している他のリーダー達に対してどのようなアドバイスができるでしょうか?
私は製薬業界で製品マネジメント、マーケティング、分析、営業のさまざまな業務に携わってきていますが、まだ一部のマーケターが患者中心のインサイトを自分の仕事に本当の意味で取り入れることに苦労している様子を拝見しています。その側面に焦点を当てる時間を見つけるのは難しいことかもしれません。したがって製品担当チームによるデータ分析ツールの利用を可能にすることで、ペイシェントエクスペリエンスを踏まえ担当製品について容易に考えられるようにする – 定性的なフィードバックのみでなく客観的で定性的な方法で臨床医や治療を受ける患者の行動を見る – このことにより自分達が期待する以上の影響を及ぼすことができるでしょう。製品に関する意思決定を単一のデータポイント – 営業データがその例ですが – に頼っていてはあまりにも狭い世界に止まってしまうことになります。AIと患者中心のインテリジェンスの組み合わせを活用することがこれを実現する方法になるのです。私たちの旅はまだ始まったばかりであることに間違いはありませんが、それが私たちが進んで行く道筋であることに疑いの余地はありません。できるだけ早くその最初の一歩を踏み出してはいかがでしょうか。
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Prospectionは、10年以上にわたり製薬会社のアナリティクスと営業・マーケティングチームにソリューションとサービスを提供してきました。同社独自の Patient-centric Intelligence Core はリアルワールドデータをインテリジェンスへと変換し、主力製品であるブランド管理プラットフォーム Prospection AI を含むさまざまなソリューションの基盤となっています。
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