さまざまな側面で医療が大きく進歩しているにもかかわらず、ペイシェントジャーニーをよりよいものとするためには依然として多くの課題があることは明らかです。悩ましいことに、40%以上の患者がエビデンスに基づき作成されたガイドラインと一致しない治療を受けていることが明らかになっています。
これはもちろん患者に対し重大な影響をもたらすだけでなく、製薬会社にとっても市場シェアの機会を逃す由々しき結果となっています。日本国内だけでも年間400億ドルにも上る*市場機会の喪失です。さらに、マクロ視点のペイシェントジャーニーからは医療アクセス、治療の質およびアウトカムには依然として地域間の格差が存在していることが見てとれます。患者ケアを改善し、その結果として営業・マーケティング上のパフォーマンスを改善するためには斬新なアプローチが必要であることに疑いありません。
患者ベースの指標がもたらす力
現在では製薬会社の営業・マーケティングチームがデータに基づき仕事をすることは当たり前ですが、戦略および戦術上の計画策定において販売データを最も重要なインプットとして過度の依存が見られることがよくあります。単なる販売数量だけでは患者が経験したことの意味合いについての情報は得られません。
商取引としての販売データに基づくインサイトとは異なり、患者を主体として考えられた指標に基づくインサイトこそが患者に焦点を当てた見方を提供することは明らかです。特に免疫腫瘍学やレジメンに基づく治療が必要とされるような複雑な疾患領域に取り組む際のインプットとしての販売データについてはこれが言えます。
患者の保険請求データはこれまで医療経済およびアウトカム研究(HEOR: Health Economics and Outcomes Research)チームだけでなくメディカルアフェアーズチームにも利用されてきましたが、現在では主要製薬会社が営業・マーケティングチーム内でこの患者を主体として考えられるデータを広範に活用していることが見受けられます。患者ベースの指標には、治療の開始、使用している各薬剤の切り替え、平均的なパーシスタンス、アドヒアランス率、入院までの期間など主要なものが提供されます。レジメンに基づく複雑な治療や治療ステージも考慮しこれらの指標を見ることもできます。これらの指標は患者の経験の中での重要なイベントについて独自かつ極めて有用な見方を提示し、様々なサブポピュレーションでの患者の行動やアウトカムを比較する際に使用できます。
最終的にはこれらの指標からペイシェントジャーニーについて包括的な視点が得られます。患者は早期に診断されていますか?適切な治療やレジメンを適切な治療ステージで受けていますか?治療ガイドラインに従っていますか?これらのインサイトを解き明かすことは患者ケアの向上と患者アウトカムの改善に不可欠であり市場シェアの成長に直結します。
患者の治療とアウトカムの品質をよりよいものへと導く変革に乗り出すには、営業・マーケティングチームが患者を主体として考えられた知識・情報(PCI: Patient Centric Intelligence)を利用していく必要があります。販売データのみでは何も変えることはできません。
日本におけるアナリティクスソリューションの現状
日本でも製薬会社は製品管理や営業・マーケティング戦略を考えるに当たりデータに基づくアプローチを強化するために取り組んできました。しかしそこにはまだデータの最適活用の大きな可能性があります。特に患者を主体として考えられたデータは患者のアウトカムを向上させながら市場シェアを拡大する可能性をもたらすのです。
日本の製薬会社の製品担当チームは計画策定や製品パフォーマンスの実績把握に当たっては、販売データや指標にこれまで深く依存してきています。しかし、これまでの議論で明らかなようにこれでは全体像は見えません。ペイシェントジャーニーは患者ケアを向上し治療ガイドラインへの適合度を高める機会を見出すために必要不可欠なものですが、販売データからはそれらの背景情報やインサイトを得ることはできません。
近年、日本の主要製薬会社は製品計画や戦略策定にリアルワールドデータやその分析を取り入れるようになり、患者保険請求データの活用も増えてきました。しかし、これは主に手作業でのデータへのアクセスとその分析に止まるため、製品や疾患領域を超え迅速かつ大規模に取り組むには無理が生じます。そこでこのような制約には第三者が提供するソリューションが対応手段となります。
様々なアナリティクスおよびコンサルティング企業がデータを活用し患者に関するインサイトを提供しています。日本では以下の3タイプのベンダーソリューションが見られます:
1. アナリティクスダッシュボード – 自社固有のデータベースを提供する国内企業が、初歩的な機能を備えたダッシュボードを提供しています。そこにはバリューチェーン全体を見据えた患者のインサイトという点で限界があります。
2. アナリティクスコンサルティング – グローバル企業が大がかりにカスタマイズするアナリティクスサービスを提供しています。設定には多くのリソースが必要であり、市場のダイナミクスの変化に対応するには時間を要し、標準化や他の製品チームへの展開が困難です。縦断的な患者データを含むさまざまなデータセットが使用される場合があります。
3. 患者を主体として考えられた知識・情報 – Prospectionは、AI機能によって強化された独自性の高い幅広いデータと深みのあるインサイトを提供することで他とは差別化されます。お客様自身の手によりオンデマンドで利用可能でありデータセットに依存しない患者アナリティクスプラットフォームをポートフォリオ全体を対象として迅速に設定できます。
日本の製薬会社は市場シェアの最大化を目指すのであれば、継続的に製品戦略に磨きをかけ患者ケアの質を向上させるために包括的なペイシェントジャーニーのインサイトを提供するようなソリューションが必要となります。未来は患者を主体として考えられたアナリティクスを求めているのです。
患者を主体として考えられた知識・情報を導き出す特化型プラットフォームの力
受賞歴を誇るProspection AIプラットフォームの基盤となっているのは、ProspectionのPatient-centric Intelligence (PCI) Coreです。PCI Core はグローバルで約5億人の匿名化された患者の多様なデータで10年間にわたり人工知能(AI)による学習を行った弊社独自のヘルスケアデータアナリティクスエンジンです。PCI Core はデータベースの種類に依存せず、ヘルスケアエコシステムでの包括的なビューを可能にします。PCI Core から流れてくるハーモナイズされ価値を高められた縦断的患者データにより、Prospection AI は製品担当チームや営業・マーケティングリーダーの分析力を向上させ、患者インサイトに対してオンデマンドで迅速にお客様自身でアクセスできるようにします。これにより製品の営業・マーケティング活動を支援するライフサイエンスチームには以下のような利点があります:
- 展開の速度と容易さ – 受賞歴を誇るProGPTにより強化されたProspection AIはユーザーがより速く患者インサイトにアクセスできるようにします。わずか2週間での展開が可能なため、変革プロセスを促進し迅速な投資回収効果を期待できます。
- 製品担当チーム向けのカスタマイズ – このプラットフォームは設定の変更・調整ができるため、製品担当チームの作成する市場マップや製品計画に合わせた設定が可能です。これにより各組織固有のニーズに合わせたアプローチを実現することができます。
- 疾患領域を超えた拡張性 – 100以上の適応症や40以上の企業での経験に基づいた事前構築の標準レポートを備えているため、Prospectionは迅速に複数の疾患領域へと展開し運用することができます。
- 日本におけるローカライズされたインサイト – このプラットフォームは日本の地方、都道府県、施設レベルでのペイシェントジャーニーのインサイトを提供し、戦術的な計画の策定と実行の進捗確認および患者アウトカムの追跡を容易にします。
今こそ検討を始めましょう
この業界には依然として患者アウトカムを最適化するための多くの可能性があります。患者ケアの向上を促進させたいという思いがその動機づけとなり、製薬会社がそれに成功するための道のりはPCIから始まります。PCIによりペイシェントジャーニーの理解はより完全のものとなり、担当チームがケアアンドシェアを改善する機会を見出すのに役立ちます。販売データに主に依存するモデルに固執することは不完全な理解を意味し改善は覚束ないでしょう。Prospection AIのような自由に設定可能でお客様自身で使えるアナリティクスプラットフォームへの投資により、担当チームは製品や疾患領域を超えてペイシェントジャーニーのインサイトに迅速にアクセスできるようになり改善が加速されます。
AIに基づくアナリティクスの力を組織全体に展開することで、製薬会社のリーダーたちは自分たちが必要とするPCIを得て患者ケアを進歩させ、ガイドラインにしたがった治療を促進し、市場シェアの最大化を図ることができます。最終的には患者を主体としたアプローチに専念することが患者のアウトカムと営業・マーケティングのパフォーマンスを持続的に改善していくための鍵となります。
*Prospectionの分析に基づく。
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