ヘルスケアにおいては患者を最優先する会社が成功します。製薬会社は真に患者や医療者のニーズ、経験、認識を理解することで、治療を必要とする患者を適切な治療に適切なタイミングで結びつける力を得られます。
この理解するということを言葉にするのは簡単ですが実行は困難です。患者データ自体は豊富に存在しますが、その収集、解読、効果的な利用には困難が待ち構えています。人工知能(AI)を含む現代の分析ツールは製薬会社がデータに対して新たなアプローチを取り、患者や医療者とのつながりをより深めていくのに役立っています。
患者に焦点を当てスマートなツールを合わせて利用することで、製薬会社は患者中心のインテリジェンス(PCI)を活用して、ケア(治療)のアウトカムを向上させ営業・マーケティング上の成功を実現するための道を切り拓くことができます。
患者中心のインテリジェンスとは?
患者中心のインテリジェンスは保険請求データのみでは捉えられない行動のトレンドや治療のダイナミクスを明らかにするために、実診療の場で実際に起こっているであろうことを臨床の専門知識を活用し考え出します。患者が複雑な治療計画 上をどのように進むか、すなわちどのように治療法が組み合わされ、治療ラインが移っていくか注目していきます。このインテリジェンスにより患者が実診療でどのような治療を受けているかという情報をもとにして、アドヒアランスのパターン、中止理由、薬剤切り替えのトレンドなどを定量化し表現していきます。患者中心のインテリジェンスは医療の場で個別の事象として起こっていることを、多くのインサイトを含むペイシェントジャーニーの物語へと独自の方法を用いて変えていきます。
これは長い時間に渡る診療に関わるコード、手術・手技などのデータ、処方の実際の記録である患者の縦断的な請求データを集約することにより作成されます。高度に洗練された分析と機械学習のアルゴリズムは、このデータを臨床データと相互に組み合わせることにより構造化していきます。これにより投薬の詳細情報、診断名、治療プロトコルの背景などの診療に関わるコードの価値を高め、保険請求という行為を臨床的に意味のあるものへと変化させることができます。
製薬会社の皆様に最も多くの高い価値をもたらすべく適切なデータセットには患者の人口統計情報と保険請求情報、処方率、調剤およびリフィル処方箋による調剤の統計情報およびペイシェントジャーニーに含まれる他の薬剤ー併用薬と対象製品の前または後に用いられた薬剤の双方ーの状況が含まれることが必要でしょう。
リアルワールドデータにより患者が受ける治療に関する実際のところを定量的に知ることができますが、患者中心のインテリジェンスは治療方針がなぜどのように決定されるのかという重要なインサイトに説得力を与え、患者を最優先に考えた営業・マーケティング戦略策定に情報をもたらすことになります。これらを組み合わせることで、治療、アウトカム、患者体験を改善するための最適なルートを地図上に示すナビゲーションシステムが作成されます。
患者アウトカムの改善 = 営業・マーケティング上の成功
患者中心のインテリジェンスはその中核として質の高い患者レベルのデータセットと高性能のアナリティクスツールを組み合わせ、処方パターンやペイシェントジャーニーに関する重要なインサイトを明らかにします。ここから得られるインサイトにより自社製品がどのように使用され、どこにリソースを向ければ製品の認知度と使用率を向上させられるかをよりよく理解することができます。患者中心のインテリジェンスは最終的に患者のニーズを中心に据えることで市場における製品のパフォーマンスを向上させ同時に患者のケアを改善します。
患者が自身の固有のニーズに合った適切な治療に巡り合い、その結果を最大化するための指導を受けることで、より良い健康アウトカムが得られます。ある治療が患者に功を奏する様子を見た医療者は将来その薬剤を再び処方しようということになるでしょうし、結果として営業・マーケティング上の成功がもたらされることになります。
患者中心のインテリジェンスは製薬会社が患者と治療法をより適切にマッチングさせ、処方、コンプライアンス、患者維持における課題を見つけ出すのに役立ちます。ペイシェントジャーニーに焦点を当てることで、自分達が理想と考える患者と医療者の実診療における経験に則し製薬会社はマーケティングメッセージや教育資材の改善すべき領域を特定できます。こうしたインサイトは患者アウトカムを改善し医療者からの信頼を高め売上を強化することにつながります。
PCI(患者中心のインテリジェンス)– プレシジョンメディシンの促進役
市場調査は製品に対する患者と医療者の認識を理解するための貴重なツールですが、必ずしもそれらの認識を形成している基本的要因を明らかにできるわけではありません。患者や医療者の実診療における経験についてより深い理解を築き上げることはこれらのニュアンスを明らかにする際に役立ち、ターゲットをより絞ったマーケティング活動へとつながることになります。
医療者はお客様の製品を自らの治療における中心的な存在と見なしているのでしょうか、それとも他のあらゆる手を尽くした後の最後の賭けとして考えているのでしょうか?患者はリフィル処方を定期的に利用しているのでしょうか、それともリフィルのパターンから継続性のない使用が示唆されるのでしょうか?お客様の製品は競合他社の製品から切り替えられているのでしょうか、それとも競合他社の製品へと切り替えられているのでしょうか?
患者が適切な治療を適切な時期に受けられなかったり、処方された薬剤を意図された通りに服用するように指導されていなかったりした場合、医療者は製品の有効性や最適な使用ケースについて誤った認識を抱くかもしれません。症状を認識してから治療を受けるまでのペイシェントジャーニーを図示することで、医療上の介入の種類とそこから最も大きな恩恵を受ける患者とをより適切につなげる機会が浮かび上がるかもしれません。
処方の選択やパターンに影響を与える可能性のあることとして、実診療のシナリオで何が起こっているのかを理解するために患者中心のインテリジェンスは重要です。導き出されたインサイトは、患者に治療が適合していない可能性がある事例や治療中の一般的な落とし穴、処方するに当たっての障壁などを明らかにし、これらの課題を解決することで患者アウトカムを改善しお客様の製品に対する医療者の認識を高めることができます。適切な対象に対し大きなインパクトを持つターゲットメッセージを作成する際に、マーケティング担当者がこの知識を活用できます。
進むべき道:製薬業界の未来を変革
ペイシェントジャーニーを意思決定プロセスの中心に置くことにより、製薬会社は市況をよりうまく把握しながら患者アウトカムを最もよいものにすることができます。患者と医療者の行動、好み、未充足ニーズについてより深く理解することで、組織は迅速かつ理に適った形でギャップを特定し埋めることができます。患者はより良い治療を受け、医療者はより適切な治療戦略を手に入れ、製薬会社は市場シェアを獲得します。
患者中心のインテリジェンスに関わるプログラムを構築するためには、数千例の患者のペイシェントジャーニーに縦断的な視点を提供する高品質なデータセットがまずは必要となります。これらのデータセットから意味を見出すには、新たなパターンを特定しキークエスチョンの核心に迫るスマートな分析が必要です。AIなどのツールによりこれらへの回答は明らかになり、データサイエンティストでない方たちにとっても分析と解釈が容易になります。
これらの要素が結び付くことで製薬会社の組織は適切な治療を必要とする患者に適切な時期に治療を提供することが可能になります。
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Prospectionは10年以上にわたり製薬企業のアナリティクスおよび営業・マーケティングチームにソリューションとサービスを提供してきました。当社が独自に開発した Patient-centric Intelligence Core は、RWDをインテリジェンスに変換し、主力の製品マネジメントプラットフォームである Prospection AI を含むさまざまなソリューションを強化します。
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