骨髄異形成症候群(MDS)は血液に生じた一連の複雑な障害であり、患者と医療者の双方に極めて難しい問題をもたらしています。最近の eJHaem 誌に掲載された研究で大学および大塚オーストラリア製薬の研究者、Prospection の社員である Arif Alam や元社員の Vincent Caillet, PhD らのチームが、MDS 治療の中心的薬剤であるアザシチジン(azacitidine)のオーストラリアにおける実診療における使用実態とその治療アウトカムについて明らかにしました。
ニューカッスル大学とカルバリー・メーター病院(Calvary Mater Hospital)の Anoop Enjeti 医師 (MD、PhD)が主導した「オーストラリアにおけるアザシチジンによる骨髄異形成症候群治療のリアルワールドデータを用いた研究」では、2016年1月から2021年4月の間にアザシチジンを初めて処方された患者を対象として Pharmaceutical Benefits Scheme(PBS:医薬品給付制度)から得られるデータを分析しました。その結果骨髄異形成症候群患者に対する最適な治療と新たな治療オプションの開発が喫緊の課題であることが明らかになりました。
最も注目すべき観察結果の1つは多くの患者が推奨されている以下の回数の治療サイクルでしかアザシチジンによる治療を受けていなかったことで、これが患者アウトカムと負の相関関係にあったことが明らかになりました。これは治療ガイドラインを遵守することの重要性と、患者が処方された通り治療を完遂するためによりよい支援システムが必要となることを示しています。
またアザシチジンを投与された患者の生存期間の中央値は13.4か月と、治験結果で報告された値よりも低いことも明らかになりました。このような実診療における治療成績と治験結果の差異は、患者の生命予後に対する治療の真の影響を理解する上で、リアルワールドエビデンス(real-world evidence)がもたらす価値の重要性を示しています。
リアルワールドエビデンス創出におけるPCIの重要性
Prospection の患者中心のインテリジェンス(PCI: Patient-Centric Intelligence)はこの研究において重要な役割を果たしました。PCI により患者ジャーニーに対する理解を深めることができたのです。先進的な分析と機械学習のアルゴリズムを使うことで、生のリアルワールドデータ(RWD: real-world data)は PCI により実際のアクションへと繋げることができるインサイトへと変換され、見逃されがちなパターンや傾向を明らかにしています。これにより研究者や医療者は患者ケアにおける改善すべき点を特定し、より的を絞った介入策を生み出すことができます。
ヘルスケア業界が進化し続ける中、PCI の重要性は疑いようがありません。臨床における専門性と最先端のデータ分析を融合したこのような研究は、MDS のように複雑な疾患の治療を進化させるためには不可欠です。Prospection は研究者や製薬業界のパートナー達との協業を通じ、PCI の力を最大限に活用し患者アウトカムの更なる改善に引き続き取り組んでいきます。
オーストラリアの MDS 患者が実際の治療で直面する課題に光を当てた本研究は、医療コミュニティに対しケアの最適化と革新的な治療戦略の開発に向けて更なる努力を求めるものとなっています。患者中心のインテリジェンスを継続的に活用し、研究者・医療者が尽力していくことで、一人ひとりの患者の固有のニーズや置かれた環境に応じて考え得る最適なケアを提供できる未来の実現に向けて取り組むことができるでしょう。
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Prospectionは、10年以上にわたり製薬会社のアナリティクスと営業・マーケティングチームにソリューションとサービスを提供してきました。同社独自の Patient-centric Intelligence Core はリアルワールドデータをインテリジェンスへと変換し、主力製品であるブランド管理プラットフォーム Prospection AI を含むさまざまなソリューションの基盤となっています。
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