複数の適応症を有する薬剤にまつわる課題を解決する

既存のデータソースを超えて

複数の適応症を有する薬剤は製薬マーケティングに新たな可能性と同時に独自の課題をもたらします。複数の疾患について承認されたこれらの治療法が様々な治療領域でその潜在的な能力を最大限に引き出すためにはターゲットを絞ったデータ駆動型の戦略が必要です。日本では既存の販売および流通データでは特定の薬剤使用パターンを明らかにするには不十分であり、機会を逃したりリソースの非効率的な配分を起こしたりするリスクがあります。未開拓の潜在市場を把握し患者による治療へのアクセスを向上させるためには、より微妙な点に配慮したアプローチが不可欠です。

複数の適応症に対し承認を得た薬剤のマーケティングにおいて製薬会社は施設レベルでの治療パターンを理解する必要があります。売上データだけでは、ある特定の施設でどの適応症が薬剤全体の使用が増加することに寄与しているのか、または未開拓の可能性がどこにあるのかを明らかにすることはできません。例えば関節リウマチと乾癬性関節炎の双方に承認された薬剤はある施設で全体としては大きな売上を示すかもしれませんが、このデータは適応症ごとの内訳や成長の機会を特定するものではありません。

「私たちは基本的に目を閉じたまま空を飛んでいるようなものです」と、ある大手製薬会社の製品担当シニアマネージャーは述べました。「売上数字は分かっていますが、ある特定の施設で売上増加に寄与している適応症を明確にすることができません。まるでピースが欠けたままパズルを解こうとしているようなものです。」

このギャップにより機会損失や非効率的なリソース配分、患者が治療から恩恵を受ける可能性があるにもかかわらず治療を受けられないといったような結果を招くことがあります。

Prospection の施設レベルのインサイトはこの課題に直接対処し、特に複数の適応症を有する薬剤にとって価値のあるターゲティングの戦略的アプローチを提供します。高度なデータモデリングとアカウントごとのダイナミクスの包括的な視点を活用することで、このソリューションは製薬会社が戦略を最適化し、これらの用途が広い治療法への患者のアクセスを改善することを可能にします。

「私たちは基本的に目を閉じたまま空を飛んでいるようなものです。売上数字は分かっていますが、ある特定の施設で売上増加に寄与している適応症を明確にすることができません。まるでピースが欠けたままパズルを解こうとしているようなものです。」
大手製薬会社の製品担当シニアマネージャー

施設レベルのインサイト – 全体像の明確化

施設レベルのインサイトは複数のデータソースを組み合わせることで各施設の治療パターンに関する包括的なビューを作成することになります。次のようなデータが統合されます:

  • 売上データ – 基礎となるデータで、全体のパフォーマンスを示す指標になります
  • 病院からの保険請求データ – 診断や治療パターンに関するインサイトを提供します
  • 独自データセット – 追加の背景情報によりモデルは強化されます

これらのデータソースを多角的に分析することで、施設レベルのインサイトを通じ複数の適応症を有する薬剤の各施設における使用状況を詳細に理解できるようにします。その結果、製薬会社にとっては以下のことが可能になります:

  1. 寄与の度合いが不十分である適応症の特定 – ある薬剤が主に一つの適応症のみで使用されている施設を特定し、他の適応症における機会を明らかにします
  2. マーケティング戦略のカスタマイズ – 施設ごとに見られる適応症別の売上割合の違いに対処するためのアプローチを作成します
  3. 資源配分の最適化 – 最大の効果を発揮できそうな施設に労力を集中させます
  4. 患者の薬剤へのアクセスの向上 – 承認された全適応症のそれぞれにおいて治療の恩恵を受けられる可能性のあるすべての患者がその機会を得られるようにします

より詳細なターゲティングによる患者ケアの向上

施設レベルのインテリジェンスの影響は営業・マーケティングにベネフィットをもたらすのみでなく、患者ケアを向上させる大きな可能性を秘めています。例えばオンコロジーではある薬剤が複数の癌種に効果的である場合がありますが、治療の決定に当たっては当該薬剤の全ての使用法に対する医療者の認識に大きく依存します。施設レベルで詳細なインサイトがないと、担当する医療者が各適応症につき十分に理解していないことで最適な治療を受けられない患者が生じる可能性があります。

この問題は異なる診療科が別の適応症で同一薬剤を用いるような大規模施設で特に顕著です。施設レベルのインサイトは診療科や適応症ごとの使用パターンを明らかにすることでこの情報ギャップを解消し、適切な患者集団がいるにもかかわらず治療が十分に利用されていない場を特定します。これにより製薬会社は医療者が各薬剤の適用法について間違いなく包括的に情報を得られるようターゲットを絞った教育を支援できます。

施設レベルでの詳細なターゲティングと支援を可能にすることで、このアプローチは医療の重要な使命と整合したものになります。それはすべての適切な患者が適応症や受診している診療科に関係なく、自己の症状に最適な治療に確実にアクセスできるようにするということです。

施設レベルのインサイトが実診療に影響をもたらす方法

一例として施設レベルのインテリジェンスが複数の適応症を有する薬剤にもたらす価値をご覧いただきます。ある日本の大手製薬会社の生物製剤は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎の承認を得て、リウマチ領域で高い市場シェアを獲得していましたが、適応症ごとに見るとそのパフォーマンスにはばらつきがありました。

施設レベルのインサイトを用いた分析では非常に高い割合で当該薬剤を使用している40%の施設で、この薬剤は主に関節リウマチに処方されており、他の承認済みの適応症での利用は限定的であることが明らかになりました。この所見は同じ専門医のもとで乾癬性関節炎や強直性脊椎炎の治療を受ける患者が多く存在する施設が多数あったことから極めて重要なものでした。

営業・マーケティングチームはこれらのインサイトを活用して戦略を再構築し、既に治療の安全性と有効性には満足している施設であるにも関わらず十分に利用されていない適応症をターゲットとして特定しました。同一施設内でも治療パスや患者を特定する手順が適応症ごとに大きく異なることを確認しました。

その影響は顕著で測定可能なものでした。このターゲットを絞ったアプローチにより、これらの施設での乾癬性関節炎と強直性脊椎炎の処方が25%増加しました。この改善は営業・マーケティングの観点で成功を収めたことを表すだけでなく、リウマチ領域のあらゆる適応症においてより多くの患者が適切な治療を受けられることを意味しました。

施設レベルのインテリジェンスが同一治療領域や専門医の中でも見られる異なる適応症ごとの薬剤使用の特定のギャップを明らかにし、それに対応することで、とりあえず成功しているように見える製品のパフォーマンスをいかに変革していくかということがここで見られるのです。

複数適応症を有する治療のターゲティングの未来

より多くの薬剤が複数の適応症について承認を得る中で、施設レベルのインテリジェンスは営業・マーケティング活動を効果的に行うために不可欠になっています。複数の適応症を有する薬剤の管理はますます複雑になり、さまざまな治療領域、専門医、患者を特定する方法にまたがることが多くなっています。

この環境で成功するためには従来型の販売指標から施設レベルで包括的にインテリジェンスを活用することへのシフトが求められます。十分に使用されていない薬剤を正確に特定し、似たような施設でのパフォーマンスの違いを理解し、リソースを最適化できる企業は患者のニーズに応えるために優位な立場となるでしょう。このアプローチは複数の適応症を有する既存の薬剤の潜在能力を最大化し、ポートフォリオ拡大に際してのより効果的な上市の基盤を築きます。

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施設レベルのインサイトは患者中心のインテリジェンスによって支えられ、施設のプロファイリングや営業現場のチームのリソース配分において他のデータからは得られない精度で行動の指針を示します。今すぐデモの実施をご依頼ください。

施設レベルのインサイトは戦略的意思決定を行う社内のマネジメント目的で設計されています。営業現場のチームによる直接的な使用や当該チームへの展開を意図したものではありません。

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